山田寛「ポル・ポト史 虐殺と破壊の四年間」講談社選書メチエ
P119
ツールスレンの山のような供述書は、人間の弱さの証明書でもあった。
P124
ツールスレンを生きて出たことが分かっているのは、たった七人という。ベトナム軍が首都に迫っている中でも、最後の後始末が行われたからだ。まさに恐怖に取りつかれた者たちが恐怖を与える「恐怖政治」のシンボルだった。
P145
「ああ、この子どもたちはこんなふうに薄ら笑いを浮かべながら囚人の拷問を手伝ったのか、いや自分でも拷問したのだろうか」。
そう思った。この博物館のさまざまな展示品の中でも、これらの微笑写真こそはもっとも寒気を催させるものだった。