信仰の現場

ナンシー関

信仰の現場―すっとこどっこいにヨロシク (角川文庫)

信仰の現場―すっとこどっこいにヨロシク (角川文庫)

 たったひとつの「○」という記号を提示することで、3万人もの人間の感情を確実に両極に分けることができるのだから、クイズというのも大変なものである。

 こういう風に、「おかしなこと」をはっきり主部で表示して、述部で明確に結論づける。こういう境目を記述できるのがすばらしい。そこを見定めることができる眼力がある。だから企画として成立する。なんとなく面白そうではじめてしまっても、実行中で眼力がなかったら、おじゃんだもんな。

 ここに年寄りが集まってくる理由は明らかだ。毒蝮は、自分のことを「ちょっといい話」の主人公にしてくれる。この魅力が年寄りを引き寄せるという方が、無理のない構造といえるだろう。

 「おかしなこと」をちゃんと人間のエゴに回帰できる。