あらすじで読む世界の名著〈No.3〉
- 作者: 小川義男
- 出版社/メーカー: 楽書館
- 発売日: 2005/01/01
- メディア: 単行本
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- スタインベック「赤い子馬」
ジョーディ、もう行く場所は一つもないんだよ。どこの場所にも人が入りこんでしまった。だが、それはそんなに困ったことじゃない。そう、そんなに困ったことじゃない。いけないのは、西へ進む精神が、みんなの中から消えてなくなってしまったことだ。西へ進むことは、もう激しい欲望ではなくなってしまった。すべてが失われてしまったのだ。おまえのおやじさんの言うとおりだ。みんな昔の話になってしまった。
失われた情熱。
- トルストイ「イワンのばか」
「神さまがおまえについていてくださるように!」
善意が身を助ける。うってつけの言葉だな。
次に、老悪魔は商人に化けてタラースのところへ行き、国じゅうのものすべての買い取りを始めた。国民はこの商人のところへ行くようになり、タラース王がどんなに金を出すと言っても、彼のもとへは行こうとはしなかった。タラース王は宮殿の庭をつくるため国民を雇おうとしたが、国民は見向きもしなかった。商人のほうが賃金をより多く支払ってくれたからだ。
お金によって繋がっている関係は、お金がなくなった時とぎれる。お金のとこにいろいろ当てはまりそう。
- イプセン「人形の家」
あなたには私というものがおわかりにならない。私もあなたという人がわかっていませんでした、今夜まで。
テレビドラマで、ヒロインが突然こんなことを言ったらおもしろいだろな。
それは今晩、奇跡が起こらなかったからです。それであなたが、今まで考えていたような人ではないことがわかったのです。今回、あなたがすすんでいっさいを自分が引き受けて、その罪人は私だとおっしゃるものだと思っていました。恐れながらも、その奇跡を望んでいました。
「人形の家」って高校生くらいの時に読んだはずなのに、ぜんぜんストーリーが分からなかった覚えがある。この本を読んではじめてわかった。やっぱ戯曲って、セリフだけだから何が起こっているのかわかりにくい。ただ、解説には感動した覚えがある。やっぱ新潮文庫の解説ってすばらしい。
- バーネット「小公女」
サアラが「ひもじい子どもたちにパンを分け与える仕事をあなたは喜んで引き受けてくれるでしょうね」と言うと、アンヌは「はい、お嬢さま」と答えた。彼女はほとんど口をきかなかったが、サアラの気持ちは通じたように感じた。