子供に読ませたい世界名作・童話100冊の本

西本鶏介
星の王子さま

 かつて子どもでなかった大人はいません。それなのに多くの大人たちは、なぜ子どものときの純粋な心を忘れてしまうのでしょう。王子様のように本当ことのよさしか知らない心を失わなかったら、世の中はどんなにか住みやすいもになるはずだと。そんな作者の思いがしみじみと伝わってくる童話です。

「モモ」

 つまり人は「よい暮らし」をするためにと思いこんで、必死で時間を倹約して働き、子どもたちも将来のためという理由で遊びの時間を奪われ、勉強に追いたてられます。こんな生きる意味をなくした生活を送っているかぎり、人の心は荒れ、私たちの社会は砂漠と同じようになってしまいます。『モモ』は、この時間の倹約を呼びかける「灰色の男たち」とその男たちから人間らしい時間、人間の心の中にある時間をとり戻してくれる女の子とのスリリングで、スケールの大きな冒険物語というわけです。