求めるということ
求めるということ (1973年) (開く叢書〈2 斎藤喜博総編集〉)
- 作者: 氷上正,斎藤喜博
- 出版社/メーカー: 明治図書出版
- 発売日: 1973
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人間関係には、消極的な面と積極的な面とがある。消極的な面とは、普通の意味での仲良し、和合、円満などである。この面は、ともすると安易に妥協したり主体性を失ったりしやすい。積極的な面とは、ともに高いほうへ伸びようとしたり、苦しい仕事をなしとげようとしたりするときの結びつきである。前者はやわらかで後者はきびしい。このやわらかさときびしさとが、うまくバランスをとることが望ましい。
わたしは、人と人との触れあいのきびしさとはぶつかりあいのことだと思う。「揺さぶりあう関係」「挑発しあう関係」といってもよい。ぶつかりあいのないふれあいは消極的になっていく。逆に、ぶつかりあいのある触れあいこそ、人と人との間を強く結びつける絆であると思う。触れあい、ぶつかりあい、結びつき、この経路こそ、結びつかないものが結びつくことであると思う。触れあいがあるということは、とかく甘く美しい装いうぃもつもののように考えられるが、そうではない。そういう点もあるかもしれないが、もっとはげしい人間と人間との交渉でなければ、真の触れあいにはならないであろう。