求めるということ

 人間関係には、消極的な面と積極的な面とがある。消極的な面とは、普通の意味での仲良し、和合、円満などである。この面は、ともすると安易に妥協したり主体性を失ったりしやすい。積極的な面とは、ともに高いほうへ伸びようとしたり、苦しい仕事をなしとげようとしたりするときの結びつきである。前者はやわらかで後者はきびしい。このやわらかさときびしさとが、うまくバランスをとることが望ましい。
 わたしは、人と人との触れあいのきびしさとはぶつかりあいのことだと思う。「揺さぶりあう関係」「挑発しあう関係」といってもよい。ぶつかりあいのないふれあいは消極的になっていく。逆に、ぶつかりあいのある触れあいこそ、人と人との間を強く結びつける絆であると思う。触れあい、ぶつかりあい、結びつき、この経路こそ、結びつかないものが結びつくことであると思う。触れあいがあるということは、とかく甘く美しい装いうぃもつもののように考えられるが、そうではない。そういう点もあるかもしれないが、もっとはげしい人間と人間との交渉でなければ、真の触れあいにはならないであろう。