ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

 そして次なる当然の問いは「大渋滞を抜けるためには何が必要なのか」であり、まさにこれこそが「人間の能力の深淵」に関わる難問であり、ここを考え抜くことが、次のブレイクスルーにつながる。

 かなりインターネットの本質をつかんでる。はてなの話とか、シリコンバレーの話なんかは、現場を見聞きしているので、説得力がある。この本自体がドキュメンタリー風で、ネットの架空の部分を架空の立場から話していない。
 それと、この本を読んで、自分なりに感じたことは、これから成長していく企業は、ネットを使っている人間の根本的な心理というか、欲求みたいなものをしっかりとつかんでいる会社だろうなって思った。この本はグーグルを技術者としてすごい評価してんだけど、この前、アスキーで読んだ書評には、グーグルは技術力じゃなくて、アイディア力があるんだという趣旨のことが書かれていて、たしかにそうだなっと思った。
 しっかりネットを使っている人の根本的な心理を押させて、カッコとした未来を描け、それを実現できる能力もある。現状を認識できて、そこから未来を予測でき、その希望地点へいける技術力もある。会社全体として、そういうことができるシステムができあがってるってのも強みなんだろうなぁっと。てか、会社というか、人間の集団って考えた方がいいかも。スマートな知的集団。完全に未開の土地にルールを作り上げて、勝ち残った群雄。
 んーだから、先を予測する能力よりも、パソコンを前にした人間の行動パターンを把握してないとなって思う。

 ただただネットを使っている身としては、ガンガン便利になっている「こちら側」しかしらないけど、「あちら側」では、めまぐるしく競争が起こっていて、そして今に至ってるんだなってことがわかるし。グーグルやアマゾンが便利だってことがわかっているから、どうしてそうなったのかっていう、「見えない過程」がわかって"目からウロコ"的な部分はある。この辺は、個人のバイアスがかかってないと言えなくもないけど、やっぱ基礎的な部分はしっかり押さえられてるのだろうと思う。そもそも、ネットって一元的にしか語れないだろうから、ネットの全体像を一冊の本で語りつくすなんて不可能なことだけど。少なくともネットというものを一元的にではあるが、鋭く描いている本であると思う。
 検索がグーグルと利用者を「言葉でむすぶ」なんて言葉の使い方も的を得てるし。けっこう考え方が柔軟。そういう意味で目線が鋭いのだろうと思う。