世界の宗教101の謎

u09042007-06-30

河出書房新社
 河出書房新社の本はけっこういいことに最近気づいた。こういった、軽い感じのタイトル・装丁の本でも、中身はすごくしっかりしていた。
 宗教の表の方の、面白おかしい摩訶不思議な面を取り上げている軽い本だと思っていたけど、宗教と社会システムの関係とか、宗教を人間の歴史の進展との関係とかが描かれていて面白かった。たんに宗教のを取り扱っただけの本ではないな、と。歴史、社会学にも関係している本だと思う。一人の作者によって書かれた本じゃないのに、それなりにつながりのある内容だったし。
 日本に仏教が入ってきたときは、多神教である神教が盛んであった日本では、もう一つ神様が増えたくらいの認識だったらしい。これがちょっと驚き。仏教に対する印象って、はじめはその程度だったのか。ま、外国から流入した、新しい"考え方"程度の受け止め方だったのだろう。「イティーハーザ」はこの辺がテーマなのかもしれない。あと、富国強兵時代は、外国の一神教の考え方を導入して、神教系が否定されたってのもはじめて知った。それと靖国問題靖国神社は戦争でなくなった、"兵士"のための神社。亡くなった人を尊重するのは当然だが、それ以前の、靖国がつくられた経緯、軍国主義的な側面を、今の日本がどうとらえるかってことを本書は問題にしている。靖国は、天皇崇拝と関係知るのかなぁと思う。
 ギリシャ神話が人間くさいのは、都市国家の連合体であったから。エジプトなどの王による独裁政権ではなかったのが影響してるって考え方は面白かった。
 あと、アメリカはラディカルな思想者の率先によって作られたが、根はイギリスから移民してきたピューリタン、保守的なキリスト教徒が多く占めるってのもはじめて知った。その保守層は、国民の大多数を占める下層階級って捉えるのね。だから、アメリカの政治って、一見矛盾したことが起きてるんじゃないだろうかって思う。指導者はラディカルで優秀なのに、一般市民の理解を得なければならないってことで、保守系の政策なんかがおかしな形で本気で議論される、んだと思う。
 この本は結構意外な事が知れてよかったな。それと、これからは、こういう感じで、それぞれの本の印象深いポイントを書いていこうと思う。