世界遺産

「町全体が巨大な劇場!シチリアバロック

 シチリア島の南東部が大地震に襲われ、ほとんど壊滅したのは1693年のこと。「町を甦らせたい!」復興のエネルギーがみなぎる中で、当時、最先端を行くローマのバロック様式が無名の町にまで取り入れられる。シチリアバロックが一気に花開いたのだ。
 バロック様式とは、カトリックの式典を劇的に演出するため、16世紀末のローマで誕生した。〜。地元産の石灰岩は黄金色を帯び、日差しによって色が変わる。〜。通りと建物が一体になり「町」という空間をつくる。街角のさりげない場所や、バルコニーの彫刻に独創性が光る。それは、市民が生きていくための活力あふれるバロックだ。
 聖なる祭りの日、町は巨大な劇場になる。市民一人一人が、その登場人物であり観客なのだ。カターニアの「聖アガタの祭り」は、大地震にも耐える都市計画で実現したまっすぐな通りと広場が、そのまま祭りの舞台になった。守護聖女アガタの頭蓋骨が納められた像が、3日間にわたり町を練り歩く。200年前から変わることない光景だ。

 シチリアがこんなに面白い街だとは。異国情緒あふれるところだ。たんなる田舎町かと思っていたら、とってもユニーク。なかでも立体的な都市のラグーザがすばらしい。こういう土地にいったら不思議な感覚を感じると思う。ぜひとも行ってみたな。とくに祭りの時期に。