口に出せない習慣、不自然な行為
- 作者: ドナルドバーセルミ,Donald Barthelme,山崎勉,邦高忠二
- 出版社/メーカー: 彩流社
- 発売日: 1994/05
- メディア: 単行本
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プラスチック紙の皿にぼくのアーティチョークの一片を置き、ポーズをとってみる。友人のヴィクターが勤めのビルでかせいでいればいいが、と心から思いやる。それからアーティチョークをひとつずつ。そう、ここはタートル湾って場所よ、ときみが言った。
言葉から、イメージが生み出される。いかようにもイメージできるような、言葉。言葉はカオスであり、イメージもまたカオスである。万華鏡の中にいるような活字体験。羅列された言葉の中で、しかしどこかへと確実に向かっているような小宇宙的世界。どこかで読んだことがあるような書式、文体。とぎれ、つながり、くりかえされ、くつがえされ、どこまでもつづく。アメーバのごとく広がるイメージ。現代人の無意識にあるものを、文字情報で限りなく刺激する!
初めて読んだのが、「おしゃべりできるか」で、ここで妙な感覚を味わった。言葉が外へ向かわず、内へ向かうような感覚。初めは外に向けられていた文章が、語尾で変化し、内面のことばになったり、またその逆だったり。「おしゃべりできるか」はこの世界が見事に完成している。どの言葉が何を対象にしているのか分からない。しかしそこには確実にひとつの世界がある。ぼくの世界の中では、みんなが中に浮いている。
・文章のほど良い長さ。こういう作品は、読者にイメージをフラッシュバックさせ続けていくわけだから、基本的に読みやすさというのは命だと思う。
・いろいろな角度から『K』について"何かが"語られる
・いかにもな情報の連なりから、最後にそれを否定する。そして「ピンク色のニュージャージー」!!「報告」
・ひたすら、単なる出来事がつらなる。そして「エドワードはうんざりした」「彼女はうんざりした」、そして「彼らは笑いに笑った」「彼女は今そんなこと言えないわ笑っている最中なんだものと言った」。笑いですら出来事の表面にすぎなくなる。ただひたすら悲しい、表層がつづく。「エドワードとピーア」
・不思議の国のアリス
・考えてみれば、すべての小説は「断片/コラージュ」の寄せ集めにすぎないとも言える。そして主人(または作者・語り手)によって「断片」はつなぎ合わされる。バーセルミの描く主人公は、ある種の現実、現実の人間の姿で、幻想でもメタでもポップでもないって、思う。