赤い砂漠

赤い砂漠 [DVD]

赤い砂漠 [DVD]

独特の世界観 これぞ映画
監督


モニカ・ビッティ
誰しもが抱えている不安
あえて表に出し、
言葉に表せば こういう感じになると思う


目線、周りとのズレ具合
今ではない、ここではない、どこかへ


 主人公はつねに関わりを求め、だが求めるがゆえに得られない。何か自分でも分からないようなものを求めている。
 何か強いものを欲している姿が描かれるのだが、観客にはそれが決して得られないものだということは分かる。その求め続ける姿にうたれる。
 彼女はつねに"求める"のみであって、何かを得られたという感覚を永遠に得られないのは分かる。
 でも、感じるのは、そうした「不安」が、むしろ生きる実感を与えているのだという点。主人公が普通に話しているとき、まるで生きているという感じを与えない。何かを希求している時、「それではない何か」と求め続ける時、それが彼女が「生きている」と思える時。彼女の不安がなくなった時、その時は彼女の周りの人と同じように"のっぺらぼうな"感じになってしまう、そのように思える。