超常現象の心理学―人はなぜオカルトにひかれるのか (平凡社新書)

一方、サイエンス系の心理学に進んだ学生が厳しく教えられるのは、「無意識」という言葉を安易に使わないように、ということだ。なぜならば、「無意識の世界に抑圧されていた」ものが原因であると考えれば、人間のどんな行動でも説明できてしまうからである。しかし、説明できることと証明することとは明らかに別であり、混同してはならないことなのだ。

アダルトチルドレン

 この理論は日本の若者達の琴線に触れた。自分に自信が持てず、人間関係がうまく結べないといった漠然とした生き方の不安、「生きづらさ」に悩む多くの若者達はこの説にとびついた。
 この理論のポイントは、人は誰でも親子関係を持っていることにある。〜。「そう言えば…」と思い当たる軋轢や葛藤の一つや二つは必ずある。何の問題も思い当たらなかったとしても、無意識のうちに抑圧しているという言い方もできるし、〜。

 宮元博章「クリティカル進化論」

 心理学のものの見方・考え方の核心は、自分の直感や印象、世間の常識や「通説」に疑いを持ち、現実世界の複雑であいまいなできごとを、慎重、偏りなく、客観的に観察すること。そしてものごとの関係を見出したり、原因を探るために正しい推論をすること。つまりクリティカルにものを見、考えることなのです。