打ちのめされるようなすごい本

米原万里

打ちのめされるようなすごい本

打ちのめされるようなすごい本

・教科書には"ものを知る喜び"も"物事の本質を究めていくときの胸の高鳴り"もない
・無名の小説家の方法論の方が普遍性がある

 仏陀は世界に、この全ての貧困、無知、抑圧、大量死を伝えるために崩れ落ちた。しかし怠惰な人類は、仏像が崩れたということしか耳に入らない

 こういう捉え方もあるんだな、と。確かに、世界の現実は、あの出来事を通して、このように捉えることができる。実際に世界で起こっていることなんで、ぼくらは表面的なことしかわからない。宗教に関わる部分は特にわからない。自分は、それを知ろうと思って、中東に行こうとしているのかもしれない。もっとも分からない世界の何かが、中東にあると思うからだ。

 感動的なのは、功なり名を遂げた遂げた科学者たちが何十年も昔の少年時代の授業の細部を、こんな風にまるで目前のことのように覚えていることだ。

 先進国の経済発展が、産油国独裁政権に頼っており、そのことこそが、そうした国々で旧態依然とした信仰を奨励する結果をまねいているとも。

 これはなるほどなぁと思った。どうかんがえてもおかしい世界情勢が、やっぱ裏では辻褄が合うようになってるんだなと。
斉藤美奈子

 ・トキがパンダの心配をしているよう

 おそらく、批判の矛先が本というより、そんな本を好む世間の趣味に向かっていて、歯の浮くような褒め言葉よりも、遠慮のない非難の方が、対象とその本質を鋭く明快に捉えることが多いせいだ。

 うむ、たしかに。愚弄なメディアには、確実にそれを求める者がいるわけだし。むしろ、そっちを批判すべきだ。てか、その関係性もだな。こういう考え方が面白い。何かを考えようとするときに、その"間"を考えてみることだな。広告とかにも適応できそう。受け手がどう捉えているか、から対象を捉えてみる。

 敵と味方、生と死、地獄と奇跡が紙一重で反転する極限状態の中で、無数の出会いとドラマがある。