その時歴史が動いた「日本ミステリー誕生・江戸川乱歩・大衆文化との格闘」相反する2つの顔ほか

 その時歴史が動いた◇日本のミステリーの生みの親として知られる江戸川乱歩の実像に迫る。大正時代、日本で初めて本格的トリックを用いた小説「二銭銅貨」でデビューした乱歩は、戦前から戦後まで日本のミステリー界を1人でけん引した。まさにパイオニアであった乱歩はミステリーという新ジャンルを定着させるため、作家としてだけでなく時にはプロデューサー的役割を自ら担うこともあった。そして、その2つの相反する立場の間で苦悩や挫折を繰り返した。乱歩が自らの葛藤(かっとう)をつづった自分史のスクラップ「貼雑年譜」などを手掛かりに、戦争を乗り越え戦後にミステリーを復興させた乱歩の苦闘をたどる。

池袋。江戸川乱歩旧邸。
戦争時の検閲。